わたしは3年間、都内で営業を行っていた。主に23区の中央線から南側を担当しており、ミニバンに乗りながら病院に営業をかけていたものである。そのときの楽しみのひとつはランチだった。よくグルメ雑誌を購入しては、営業のついでに近くの有名なグルメショップに足を運んでいたものである。そのうちのひとつが江戸前寿司である。とある病院の駐車場に止め、築地市場外に足を運び、そこで生涯で一番高い寿司屋に入店したのである。実際、築地市場外にはお寿司屋さんが軒を連ねている。カウンター式のリーズナブルな海鮮丼から、ファミリーに人気の回転寿司、そしてわたしが行ったような生簀に魚が泳ぎ、板前の人が直接握ってくれる江戸前寿司屋などがある。それでも全体的に安い価格で提供されている。実際、わたしが入店したのも、銀座の高級寿司店に比べれば、かなりリーズナブルな価格のものである。それでもわたしにとっては生涯のなかで一番高い江戸前寿司であるのには間違いなかった。わたしは初めてその店で大トロを食べた。実際、大トロは動物性の肉を食べているかのように、非常にうま味のある刺身であった。昔は大トロは捨ててしまう部位だったというのに驚きである。後日、家族を連れてこの寿司屋に来たのだが、弟を始め、なかなか食べることのできない大トロに感動していた。やはり東京はおいしいものが集まると言われるだけのことはある。東京の真ん中で食べた高価な江戸前寿司は、わたしのなかでも強く印象に残っている。